
3週間に渡り、柳の家で開催していた中井菜央さんの写真展「繡」が終了し、自分の中で振り返りつつ、思い巡らせていました。
柳の家としては、初めて誰かに場所を貸したのがこの写真展。
私自身は写真に詳しくはないけれど、3週間中井さんの写真に囲まれて、足を運んでくれたたくさんの人の感じたことを聴き、中井さんの表現の土台にあるものを感じ、いつもとは違う感覚や考えにも出会うきっかけになりました。
考えを巡らせても、わかったけど、わからない。
そんな感覚。
文章にしようと思っても、どう書いたらいいかわからない。
でも、わからなくてもいいんじゃないか。
「わからない」を自分のなかに保ち続けることって、大事なことなのかもしれない。
そう思ったので、再び書いてみることにしました。
なので今日の文章は、いつにも増してまとまっていません!(笑)
でもそんな日もいいかな、と。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「光輝くことでもなく、闇に沈むことでもない、ただそこに在るということ。
私はそれをポートレートにしようと思いました。」
中井さんの写真集の最後は、その言葉で締められていた。
写真集を初めて開き、1ページ1ページめくっていく。
淡々と、淡々と。
最後のページをめくり、背表紙を見、そして表紙を表に持ちかえる。
私はこの写真集を見て、どう感じたのだろうか。
そう考えてみたけど、わからなかった。
なにも感じなかった、というほうが近いのかもしれない。
そんな、なにも感じない自分に少し落胆しつつ、その日は写真集を置いた。
今関わっているウェブメディアの仕事やブログでは、その対象となる「もの」「ひと」「こと」「地域」をどれだけ魅力的に見せるかということを重要視している。
そういうと商業的だけれど、もっと自分に身近に寄せていくと「私がその対象となるものを、どう感じ、捉え、理解していくか」という部分が大事だと思っている。
私が開催している研究室でも、「自分が周りのものをどう感じるか?」ということに気づくことをメインテーマとして始めたこともあり、最近はそんなことばっかりを考えていたから、余計になにも感じない自分について、どう捉えたらいいのかわからなかったのかもしれない。
そんななか、写真展の最後を飾る中井さんのトークショー。
正確ではないけれど、次のように語っていた。
「私たちがそれを理解しようとするために、意味や価値を加えている。でもそれがなかったら、それは空っぽなのか。そうではなくて、それぞれがそれぞれの在り方でそこに在る。世の中ってそういうもの。そこに在るという個の存在は、意味よりも強いものを持っていると思うようになった。」
私たちは、目の前のものにいろんな価値や意味を加えて、フィルターをかけていくけれど、それよりも前に、「そのもの」としての存在があり、それは誰がどんな角度で見ようとも、肯定しようが否定しようが、「そのもの」としては変わらないもの。
当たり前といえば当たり前なこと。
そんなこと言って、どうするの?と思う人もいるかもしれない。
でも誰もあえて表現しないこと。
それを中井さんは表現してくれているのかもしれない。
だから、なにも感じなかったのか。
そう考えると腑に落ちる。
結局、結論は?
と言われると、わからない。
「どの写真が好き?」とある人に聞かれた。
そのときも、結局わからなかった。
いつもなら、ページをめくって心に響くものや、光って見える部分があるから、「これが好き」と言えるのだけれど。
この写真集については、そういう心の抑揚が出てこなかった。
この世界には、美しいもの、幸せを感じるもの、切ないもの、悲しいもの……いろんな抑揚、変化があるから、豊かでたのしい。
一方で、変わらない「そのもの」があるから、私たちはどんなときも生きてゆけるのかもしれない。
▽今日のちいさな研究テーマ▽
「中井菜央さんの写真展、または写真集の感想をシェアしましょう」
・どんなことを感じましたか。
・まだ見ていない方は、どう思いましたか。
Classic Labはわたしからみなさんへ、
一方通行で与えるものではなく、
一緒に感じ、考えていくコミュニティです。
ブログや研究テーマについてのご感想を
よかったら教えてください。
ご感想はこちらのフォームから
■中井菜央さんの写真集「繍」はこちら↓
http://www.akaaka.com/publishing/books/naonakai.html
4月~京都でも展示が始まります。
お近くの方はぜひ足を運んでみてください^^
詳細はこちら↓
■「感覚にすなおになる」じかんを、自分自身にプレゼントしてあげませんか。
■「感覚にすなおになる」1泊2日研究合宿
2019/2/16-17 14:00~翌11:30
詳細・お申し込みはこちらから
http://www.emicomorooka.com/archives/35871075.html
コメント