【メッセージ】
できないことを嘆くのではなく、できることを見出すまなざしを育むこと。
そうすれば、どんな変化にあっても、自分の軸を持ち、あるものを生かすことができる。
その先に、自分らしく楽しめる暮らしを紡いでいく。
一本の縄を綯うように、自分の軸を作っていく
雪国では、昔から冬の手仕事として藁を使って身の回りの道具を作ってきました。
子どもたちが親や祖父母の仕事を見て、はじめに覚えるのが「縄綯い」。
「縄を綯う」という行為は
自分の手のひらの中で、少しずつ時間をかけて綯っていくこと
藁という「あるもの」を活かし、先へ先へ繋いでいくこと
雪国の人は、こう言います。
「藁で綯った縄より強いものはない」
今でも縄は暮らしの中で重宝されています。
縄はしなやかで、強く、たいていのことでは切れたりはしません。
雪国の人は、こうも言います。
「藁細工は1に縄綯い、2に縄綯い、縄綯いができれば、なんでも作れる」
「縄を綯う」という地道な作業は、すぐに身に付くものではありません。
何度も何度もやり続けて、いつのまにか体で覚えてしまうものです。
その分、身についてしまえば自分次第でさまざまな形にアレンジができるのです。
しなやかで強く、より良い形にアレンジしていくことができる。
そんな一本の縄のような軸を持っていれば、どんな変化の中でも、自分らしく生きていくことができるようになります。
変化への恐れを乗り越えるヒントは、雪国の人びとの営みにある。
現代の社会は、お金を出せば完成されたものが買えたり、機械がやってくれることで品質も安定していたりと、とても便利な世の中です。
また、都市部では自然が少なくなり、四季の変化に戸惑うことなく一年中快適でいられるようになりました。
その反面、東日本大震災のような自然災害が起こると、お店で物が買えなくなったり、電気が使えなくなると何もできなくなったりと、変化に対して弱い社会になってしまいました。
また一人ひとりの人生も、変化の連続です。
「就職」「結婚」「子どもの誕生」など、ライフステージの変化は多かれ少なかれ誰にでもやってきます。
特に女性は「結婚」「出産」などのライフステージの変化により、いままでの生活リズムや働き方が大きく変わるなど、インパクトも大きいです。
わたし自身も結婚するときに、将来の出産や子育てを考えると不安になりました。
いま気に入っているこの土地にいられるのか。
いまの働き方を続けられるのか。
「いま」の状況から変化することが怖かったんです。
なぜ変化が怖かったかというと、「できなくなること」ばかりに目が行っていたから。
その考え方を変えてくれたのは、雪国の暮らしと人びとの営みでした。
雪国では冬になると農業をはじめできなくなることがたくさんあります。
ですが、冒頭の藁仕事などの伝統的でいまの時代にも生かせる技術や知恵は、ほとんどが「できることが限られる」環境の中で育まれてきたことばかりです。
【写真:大根つぐら・・・天然の雪室。冬中新鮮なまま保存ができる】
できないことを嘆くのではなく、できることを見出すまなざしを育むこと。
そうすれば、どんな変化にあっても、自分の軸を持ち、あるものを生かすことができる。
その先に、自分らしく楽しめる暮らしを紡いで行けるようになる。
雪国の人々の営みはわたしにそう教えてくれました。
いま、「移住」「結婚」「出産」というライフステージの変化のなかで、
あなたが戸惑っているとしたら、それはなぜなのでしょう。
いままでの生活スタイル、キャリア、働き方、暮らす場所、住まい、人間関係などに変化があるから。
いままで当たり前にあったものがなくなったり、形を変えなければいけない状況にあるからでしょう。
でも、きっとあなたはそれらを前向きに捉えられるから、変化(結婚、出産、移住)したのではないでしょうか。
だから、自分なりに変化を受け入れようと頑張ってみた。
でもどうもうまくいかなくて悩んでいる。
うまくいかないとはどういうことなのか?
それは、自分で選んだはずなのに、こうしたい未来があったはずなのに、後退しているような気持ちになるということ。
なぜ、そう思ってしまうのか?
きっと、あなたは元々「あるもの」を持って、仕事や暮らしに生かしてきた人。
誰に言われなくても、自ら進んで新しいもの、新しい関係をつくってきた人。
ある程度仕事もできるし、人とのかかわりも良好だった。
だからこそ、変化(結婚、出産、移住)により、進むスピードがゆっくりになったり、自分だけの意志で突き進めなくなってしまったことに、戸惑いを感じてしまうのです。
でも、少し離れたところから見てみれば、いまの状況も少しずつ進んでいるし、あなたはちゃんと「あるもの」を持っているのです。
それを見出すには、いまいるところで一人で悩んでいても、解決の糸口は見つからないかもしれません。
だからこそ、雪国の人たちと一緒に、あなたの中に「あるもの」を見出しませんか。
そして、まわりに「あるもの」を織り交ぜながら、一本の軸を紡いでいきませんか。
雪国は毎日が変化の連続。変化との付き合いかたを研究しよう
雪国の暮らしのエッセンスは変化に戸惑う私たちが、自分の軸を持って生きていくヒントになる。
そうすれば、社会全体も変化に対応しやすく変わっていくのではないか。
そう考え、Classic Lab という名前で活動を始めました。
Classic 伝統的で流行り廃りのないもの、古き良きもの、もとから「あるもの」
Classic Lab 「くらし」を自分「らしく」研究する
「古き良き雪国のエッセンスを、現代の暮らしに自分らしく編みこんでいく」
「技術を教えること、完璧にできることが目的ではなく、一人ひとりのclassic(あるもの)を見出すお手伝いをする」
という意味を込めて名付けました。
【Classic Labが提供するもの】

・研究室 「あるもの、いかす」をテーマにワークショップの開催
(暮らしまわりの繕い研究室、お茶うけおかず研究室、手仕事研究室)
・編集室 「あるもの、みいだす」をコンセプトにエッセイ執筆、
企業の委託事業(編集、執筆など) *雪の日舎
・ゲストハウス 準備中
研究員のための、会員制ゲストハウス
雪国の1年は変化の連続です。
日々変化する環境のなかで、どう自分の「あるもの」を見い出していくか。
「できない」ことにぶちあたったとき、どうやってまわりの環境の「あるもの」と自分の「あるもの」を編みなおしていくか。
Classic Labでは、雪国のひとの暮らしに触れ、その奥にあるエッセンスを研究します。
雪国の変化のなかで、あなたの目の前にある「変化」との付き合いかたを共に考えていきましょう。
■執筆依頼、イベント、講座の出演、詳細などご希望の方は「お仕事内容、テーマ、スケジュール、ギャランティ」などお書き添えの上、下記までご連絡ください。



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